第3回 LIXIL国際大学建築コンペ

結果発表

最優秀賞
ハーバード大学 (米国)「HORIZON HOUSE」
HORIZON HOUSE

コンセプト

「HORIZON HOUSE」はプライベートな生活空間と大樹町の地域的な状況との対話から生まれた計画である。建物は―ふたつの人工的な構造体、すなわち床と屋根との間に介在する―水平に連続する屋内空間として考えられており、そこからは周囲に向けて360度の視界が開けている。大樹町は豪雪地域にあたり、その地面レベルは季節によって変化することになる。冬期に部分的に埋没することを避けつつ、遠くまで見晴らせる眺望を確保するため、生活空間はマッシブな基礎の上で地上1.5mまで持ち上げられている。その中でさまざまな高さの床レベルにより屋内空間が区切られており、それぞれの部屋からは植栽や地形、四季に応じた気候などの自然要素を目にすることができる。そのなかで住人は、視覚、聴覚、さらには触覚を通じて直接周辺の環境とふれあうことになるのである。

建設に関しては、建物をとりまくエコロジカルな枠組みを空間的にも時間的にも拡張しようというわれわれの観点を反映し、建設資材の仕入れからライフスパン、そしてエネルギー収支までを取り込んだものとなっており、今回の提案では北海道に現存する廃線となった鉄道の枕木、放棄された構造物の骨組み、林業のための施設など、地域的なリソースを再利用する可能性に言及している。家の基礎は鉄道の枕木を再利用したものを束ね、重ねることで連続的に平坦なスラブを構築する。基礎は平均で2mもの厚みとなり、建物の建築面積全域にわたって等しく垂直荷重を支える。この基礎は地面を浅く掘り込んだ中に砂利を敷いた上に載せられており、重心が低く堅固な接合であることから地震時にも安全に荷重を伝える。木材による基礎は最小限のエネルギーで生産でき、簡単に解体・リサイクルができる点でも優れている。

これらの基礎工事は屋内において相互にかみあったフロア・レベルとして表現されており、ちょうど木材のかたまりから彫り出したかのような風景をもたらしている。フロアはそれぞれ、エントランス、キッチン・浴室・寝室、そしてリビング空間に分けて異なる高さとなっている。これらすべての空間には床暖房が備えられているが、これらは住人の居場所に応じて作動するようになっており、フロアレベルと気候のセッティングは住人のさまざまなアクティビティに対応して決められている。それぞれの空間において窓は視点の高さに最適化され、地面に近い位置におかれることでエネルギー効率の高い人間工学に基づいたライフスタイルをもたらす。木材フレームによる上部構造は一部で芝生による緑化屋根となっており、根付いた芝生とゆるやかな傾斜とによって積雪をそこに留め、季節的な断熱要素とする戦略となっている。また夏期には、この家は放射熱と自然換気により屋内環境を保つ。寝台となったロフト上部の天窓が開放され、熱気がそこから逃されるとともに、その下側の窓から涼しい風を採り入れるのだ。

総 評
審査委員長 隈研吾氏

このような急進的なアイデアを実現するということは簡単なことではない。
LIXILや大樹町のサポートを受けながら、この非常にスマートなアイデアを実現したい。
私自身、今回の作品の完成を大変期待しています。

受賞者コメント
Ana Garcia Puyol(アナ・ガルシーア・プヨル)さん、Thomas Sherman(トーマス・シャーマン)さん、岩村卓弥さん

今回、コンペに参加できたことを嬉しく思います。まずは最優秀賞をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。チャレンジはこれから先も続きますが、完成した「HORIZON HOUSE」には自分たちもぜひ滞在してみたいです。

指導教官コメント
Mark Mulligan(マーク・マリガン)さん

今回の受賞はチーム8人が一丸となって取り組んだ結果。今後、実際に建築するにあたり、アイデアが変わっていくこともあるだろうけれど、それも含め楽しみであり、エキサイティングだと思う。
こんなにわくわくするプログラムは初めての経験です。

優秀賞
シンガポール国立大学(シンガポール)「kaze house」シンガポール国立大学(シンガポール)「kaze house」

コンセプト

─この計画における建物の配置は、この地域に吹く風の方向から決められており、冬期の積雪と夏期の自然換気を操作したものとなっている。

このリトリートは、人びとが最も休暇を取る冬と夏というふたつの季節の極端な差をデザインを発展させる上での手がかりとしたものである。デザインを始める段階ですでに、私たちはこのふたつの季節それぞれの気候の違いのみならず、敷地における大きな特徴となっている自然要素、すなわち「風」に着目した。

[つづきを読む]

デルフト工科大学(オランダ)「Simply Adjustable」デルフト工科大学(オランダ)「Simply Adjustable」

コンセプト

私たちの提案する家は、形態としてもコンセプトとしても単純なものだ。自然は生きながらえていく上で、常に最も単純で、純粋で、なおかつ周到な解決策をとる。建築においても同様のことができると私たちは考えた。日本のように建築的なコンテクストに恵まれている場所であればなおさら、このような考え方があてはまるのではないだろうか。

[つづきを読む]

Page Top